簡単な事とは、覚えるのも簡単なのでしょうか?

2022-10-07

私が塾の授業で、
気をつけている事について
お話しします。

授業中に言います。

・途中式を書きなさい。
・見ているだけじゃなく、3回書いて覚えなさい。

このような事を言います。

上記のようなことって、
基本ですよね。

ということは、
小学校1年生から今日までで、
何度も言われてきたと思います。

ここを踏まえて、
私が意識していることが
あります。

それは、何かを言う前に、
「いつも言われてる事だろうな…」
と、一瞬心で思うことです。

子供たちにとって、これまで
何度も言われてきただろう
このような事とは、

原則苦手な事なんだと思います。

たとえば…

・玄関でくつをそろえない。
・脱いだ服をそのへんに放置する。

・数学で、途中式を書かない。
・字に丁寧さが無い。

・英単語を書いて覚えない(じっと見ているだけ)。
・ドアをそっと閉めない。

このように、
あらためて文字にして見てみますと、

いつも言われているだろう事とは、
単純なものばかりです。

つまり、
単純なことができなくて
いつも注意されている…
というわけです。

でも、ちょっと待ってください。

単純なこととは、イコール
すぐ修正できることなのでしょうか?

すぐに修正できることならば
なぜ子供たちは何年も、何十回も
同じ注意を受けるのでしょうか?

こう考えてみますと、
すぐには修正できない事なのではないか?

こう仮説を立てることができます。

ということは、私たち大人は、
子供にとっては、すぐに修正できない事を、
サラッと軽い感覚で対応していることになります。

このように考えますと、
一見単純に見えることでも、

実は奥が深いことなのかも
しれません。

この「単純に見えて奥が深い事」を、
今すぐ改善できる方法を、

残念ながら私は知りません。

ですので、せめて、
「また言われて辛いだろうな」
という気持ちだけは持っていてあげたいのです。

悩んでいるのは子供本人です

そして、単純かどうかは別として、
できない事とは、たいてい苦手なのです。

そこで私は、勉強に関してですが、
今すぐできるようになる必要があるのかどうか

ここで考えるようにしています。

実力テスト後に、
中1の空間図形が苦手だと分かったとして、

今すぐに克服する必要があるのかな?
こう考えます。

それよりも、
歴史の太字を「全部読める」ようになるほうが
優先ではないか?

こう考えます。

どうしても苦手は目立ちます

目立つ苦手を克服するよりも、
きっと今すべきことは、まだまだあると思うのです。

もちろん、最初の一歩が苦手ですと、
先に進めないこともあります。

そんなときは、ちょっと大げさに
伝えるようにしています。

たとえば、
円の面積を求めるとします。

半径×半径×3.14を覚えるなんて、
10秒ですよね。

ですが、
これを覚えられない場合は…

私「半径の長さに、もう一回半径の長さを掛けて、
なんだか分からないけど3.14も掛けるらしいよ。
どう思う?かっこいい?」

こんなふうに言います。

他にも、
私「南総里見八犬伝って、ワンちゃん、
何匹いる?」

私「管領の読みって難しいよね。どうする?」

このように、
とにかくストーリーをつけるようにしています。

では、
ストーリーが付けづらい場合、
どうしたらいいのか?についてですが、

早口言葉を利用します。

中3の数学で出てくる「解の公式」は、
丸暗記の代表ですが、

私「1分後に、テストをしような。」
とだけ言って待ちます。

私「はい、言ってみて。」
子「2a分の、プラスマイナスルートb二乗マイナス…」

私「もうちょっと速く言ってみて?嚙まないで。」
子「え、え~?」

のような感じです。

他にも、
・公事方御定書
・風神雷神図屛風
などは面白いですね。

この方法を使いますと、

理科の
・電力量の求め方
・密度の求め方
・飽和水蒸気量の求め方など

いろいろ応用できます。

このように、

苦手な事は、
1.分解して考えてあげる。
2.他に影響がなければ、今は放っておく。

覚えづらい事は、
1.ストーリーをつけて印象に残す。
2.早口言葉のように、速く言う。

つまり、
出来ない事や大変な事は、
「覚える方法」に焦点を当てて捉えさせると
良いと思います。

その前提として、
「頑張っていて偉いな。」という
気持ちで子を見る、ということです。

Copyright(c) 2014 iidajuku All Rights Reserved.